志を育むこと

1. 現状
夏休みに入って、大学入試で総合選抜型入試や推薦入試を利用する受験生たちが、志望理由書を一生懸命に作成していますが、上手く書けない生徒が殆どです。
書き方の問題もあるのですが、殆どの場合、自分の将来像が見えていません

2. 塾での対応
私の塾では、生徒が上手く書けるように個別に面談を重ねています。当然ですが、志望理由書を書くのは私ではありません。生徒自身で書けるように意志を確立させます。
具体的には、その生徒が携わろうとする分野がどうなるか、そしてどう変えていきたいかを一緒に考えます。
大学へ行くのですから、時代の流れに合わせるといった従属的な考え方ではなく、その分野をどのようにリードしていくかを考えるべきです。
将来、どのようなことが起こり得るか、その結果どのように社会に影響するか。そして、それをどのように導いていくか。

生徒と対話しながら、生徒の将来、そして生徒を通して訪れようとしている未来をえぐり出しているような感覚です。将来像が少しでも見えてくると、私自身も気持ちが高揚しますし、生徒は目の色が変わります。


3. 問題の本質
本来、このように自分に向き合うことを生徒に促し、志を育むことは、受験学年になる前にやっておくべきことです。
私の塾だけで、このような状態ですから、社会全体ではどれだけ多くの高校生が悩んでいるでしょう。
大した目的もないまま大学に進学してしまう人もかなり多いはずです。

志を育むことは、学習指導よりも遥かに大切なことなのに、何故、こんな状況になっているのでしょうか。
その原因は、たくさんあると思いますが、特に高校の先生方と文部科学省の責任は重いでしょう。

高校の先生方、真の意味で仕事をしていますか?自ら勉強して生徒と一緒に将来像を探求していますか?それをやりたくでもできないのであれば、学校教育の仕組みに欠陥があります。現場から行動して声を上げなければ何も変わりませんよ。

文部科学省の皆さん、失策を自覚していますか?組織として仕事に不備により、国益が大きく損なわれている現状から決して目を背けないでください。

最後に、これは私どもにも言えることですが、上司が、現場が、行政が、慣例が、といった「分断」こそが真の敵です。将来に悩む高校生と同じように、私たち大人が自分に向き合いましょう。